クリエイターラボ
読み上げツールに適した文章でホームページのSEO強化|書き方のコツを解説
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こんにちは!名古屋のホームページ制作会社WWGで取材ライターをしております、のっくんと申します。
皆さんは音声読み上げツールを使ったことはありますか?
音声読み上げツールとは、その名の通り、ホームページ上のテキストをそのまま音声として読み上げてくれるものです。視力の問題で文章を読むのは難しい方はもちろん、「ながら学習」をする方にも利用されています。ニュースサイトの文章を読み上げてもらって、仕事の合間に気になるニュースをチェック…なんて使い方もできますね。
ホームページに掲載する文章を作成する際、この読み上げツールに適した書き方をすることで、間接的にSEO対策になる可能性もあります。
ですが、ホームページ制作に携わるプロでも、読み上げツールを意識したライティングをしていることは少ない印象です。私も、ホームページを閲覧する方のターゲットとして想定していない限り、意識することはほぼありません。
そこで今回は、ホームページ制作に携わるライターとして「読み上げツールに適した文章の書き方」を研究してみたのでまとめてみます。
「いろんなSEO対策をしてみたけれど、これ以上どうしたらいいのかわからない」「何が正解で何が間違いかわからなくて不安…何か指標が欲しい!」という方は、よかったら参考にしてみてください。
音声の読み上げツールとは?
読み上げツールとは、文章を音声で出力してくれるものです。
ダウンロードして使うソフトウェアやアプリケーション、ブラウザの拡張機能として使えるもの、専用ページに文章を流し込んで読んでもらうものなど、さまざまなツールがあります。キャラクターの歌唱を目的としたソフトウェアもありますが、あれも広義には読み上げツールのひとつですね。
ホームページの文章を読んでもらうなら、拡張機能として入れるのが便利でおすすめです。
読み上げてもらいたいページを開いてボタンを押すだけで、上から順に文章を読み上げてくれます。
読み上げ機能とSEOの関係
結論から言うと、「読み上げツールを意識することで劇的にホームページの検索順位が上昇することはない」というのが個人的な見解です。
ただし、以下のような理由から、SEO対策の一環として「読み上げツールに適しているか」を基準の一つにするのは非常に効果的だと感じました。
文章の質が上がる
読み上げツールに対応させるということは、機械が読み取りやすいように日本語のルールを守って書くということです。正しい文法で書かれた文章は、読み取りツールだけではなく、検索エンジンにとっても「何が書かれているか明確で、評価しやすい文章」になります。
また、適切に書かれた文章は、人間にとっても読みやすいもの。
結果的に、読み上げツールに適した文章を書くことで「検索結果に反映されやすく、人間にとっても読みやすい文章」が作れることになります。
コンプライアンス的視点
法律で定められている
2024年4月に「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」が改正されました。
この法律の中で定めているのは、ざっくり言うと「あらゆる障害を持つ人が過ごしやすいように、環境を整えるように意識しよう」という内容です。今までは公共機関・団体を対象に「取り組んでね」と定めていたものが、この改正により民間企業も対象になりました。
しかし、厳格に義務化されたわけではなく、あくまで「努力義務」です。「絶対にしなきゃいけないわけじゃないけど、意識して取り組んでね」というものですね。
この中に、「ウェブアクセシビリティの確保」が含まれます。障害を持つ方への配慮を、ウェブにも適用しようということですね。詳しくは以下の記事をご参照ください。
上記の記事でも取り上げたように、「ホームページの文章を読み上げツールに対応させること」は、ウェブアクセシビリティの確保に繋がります。
「努力義務」の今だからこそ効果的かも
2025年6月現在、ウェブアクセシビリティの確保は努力義務なので、取り組んでいる企業は少ない印象です。
だからこそ、今なら他社との差別化も狙えます。また、今後義務化される可能性も十分にあり、ウェブアクセシビリティの確保が検索順位の指標に加わることもあるかもしれません。
法改正の動きから見ても、ホームページの読み上げツールへの対応にはそれなりの価値があると考えられます。
ブランディング的観点
「ホームページ内の文章を読み上げツールに適した形にしている」という取り組みそのものが、企業のイメージ戦略に役立ちます。
特に福祉系の事業とは利便性の面でも相性が良いため、実際に取り入れて、ページのどこかに「当ホームページは、読み上げツールが認識しやすい文章作成を心がけています」と記載するのも効果的です。
読み上げツールを意識した文章の書き方
いくつかの読み上げツールを使用したうえで、簡単に取り組めそうなポイントをいくつかピックアップします。
- 同音異義語に注意する
- 句読点を適切な位置に使う
- 見た目の調整にとらわれない
- 表記や略語に気をつける
大前提として、ツールによってイントネーションや読み取りの精度には差があります。
実際に読み取り音声を聞きながら調整する…というよりは、「基本的にここを押さえておけば、ホームページの文章の読み取りに支障がなさそう」というチェックポイントの作成を想定しています。よかったら活用してみてください。
同音異義語に注意する
日本語には、同じ読みをするけれど違う意味を持つ言葉、「同音異義語」がたくさんあります。読み上げツールを活用してこれらの文字を読み取ると、文章の組み立て方によっては混乱を招くこともあります。
パソコンやスマートフォンの変換性能を試す文章として、次の例文のようなものがよく用いられます。
貴社の記者が汽車で帰社した。
これを読み上げ音声として書き起こすと、「きしゃのきしゃがきしゃできしゃした」となります。ツールによっては、漢字の部分は少しイントネーションを変えて読み上げてくれますが、音声のみでこの文章を認識するのは非常に難しいです。
可能であれば、言葉の順番や表現を変えて、わかりやすい文章にしたいですね。調整するときは、次のような点を意識するのがおすすめです。
- 人の動作に該当する熟語を文章に言い換える
- 熟語を補強する文章を加える
この点を意識して文章を調整すると、次のようになります。
貴社に所属している記者さんが、汽車に乗って帰りました。
どの「きしゃ」が何を示しているのか、わかりやすくなりましたね。文章が長くなってしまうというデメリットはありますが、「絶対に誤解されたくない」という部分においては、特に意識してみてもよさそうです。
句読点を適切な位置に使う
句読点の位置は文章の意味を大きく変える
「。(マル)」に該当する「句点」と、「、(テン)」に該当する「読点」。打つ位置を間違えると、まったく違う意味の文章になってしまいます。次に三つの例文を挙げます。
- スマートな社会人の仕草
- スマートな、社会人の仕草
- スマートな社会人の、仕草
最初の例文「スマートな社会人の仕草」では、「スマート」なのが「社会人」なのか「仕草」なのかがわかりません。
しかし、二番目の例文「スマートな、社会人の仕草」では、「スマート」なのは「仕草」です。三番目の例文「スマートな社会人の、仕草」では、「スマート」なのは「社会人」だとわかるようになりました。
文章を短く区切ると理解度が上がる
文章を書くコツについて取り上げた以下の記事でも触れましたが、「文章を短く区切る」ということは、読み上げツールを使う際にも重要です。
たとえば、「田中さんが昨日公園に行ったときに会った佐藤さんの知り合いの友達の…」みたいに続く文章、読むのしんどくないですか?
句点を使わずに文章をいくつも繋げると、「あれ?最初のほうに言っていた情報を忘れちゃった…」なんてことになりがち。
それに加えて、読み上げツールの使用においては読点の量にも気遣う必要があります。次で挙げる例文を、ぜひ音読してみてください。
1.私が最近ハマっているのは動画サイトでリラックスできるBGMを探すことです。
2.私が最近ハマっているのは、動画サイトでリラックスできるBGMを探すことです。
二番目の例文、読点が入っているほうが、なんとなく落ち着けるような気がしませんか?
長文なのに読点が一切登場しない…となると、息継ぎなくずーっと読み続けているような音声になってしまい、頭の中で文章の意味を理解するのが難しくなるんですね。
通常の文章でもこうした句読点の打ち方は意識するものですが、読み上げツールを活用するにあたっては、より気をつけなければいけないと感じました。
見た目の調整にとらわれない
空白や改行の使い方に気をつける
文字の位置をそろえるために空白を入れたり、文章の途中無理やりで改行したり…といったことはよくありますよね。
特に多いのは、「集合場所」の四文字に合わせるために、「日 時」と、短い熟語の間に空白を入れて調整する、といったことではないでしょうか。
空白や改行を無視して読んだり、逆に必要以上に音声へ反映してしまったり、というのはツールの性能によるので、使用する際は注意が必要です。
HTMLやCSSを活用する
ホームページ上でどうしても見栄えの調整が必要な場合は、HTMLやCSSなど、コードを指定して整えましょう。
読み上げツールの中でも、ブラウザの拡張機能はホームページの文章を認識するのに優れています。たとえば、リストタグを使って作成した一覧では、表示されていなくても「1.〇〇をする」というふうに数字を読み上げてくれることもあります。
表記や略語に気をつける
漢字がどう読まれるかを考える
読み上げツールを使っていて気になったのが、「応募者の方」の「方(かた)」を「ほう」と読まれるケースと、「会話力」の「力(りょく)」を「ちから」と読まれるケースがあったことです。
それほど支障はなさそうですが、たとえば「役所の方(かた)から指示がありました」と「役所の方(ほう)から指示がありました」では、「個人」と「団体」で意味が違いますよね。どちらの伝わり方をしても問題ない場合は大丈夫ですが、その微妙なニュアンスを伝えたい場合はどうしても気になります。
なんとか改善したい部分ですが、かといって「応募者のかた」「会話りょく」と書くのも見栄えが悪いです。
正直なところ、直接的に改善するのは非常に難しいです。なので、「間違った読まれ方をしたときでも誤解がないように、前後の文脈に気をつける」といった意識が必要だと感じました。
略語や造語の使用頻度を考える
「ホームページ」を略すと「HP」ですが、これがきちんと「ホームページ」と読まれるか、「エイチピー」と読まれてしまうかはツールの性能に大きく依存します。
文脈を読み取るAI機能が搭載されているものなら、直前に「HP=ホームページ」とわかるような文章があればきちんと認識されるかもしれません。ですが、基本的にはそのままアルファベットとして読まれてしまう、と思っておいたほうがよさそうな印象でした。
また、造語の使用にも注意が必要です。
特に企業ホームページだと、「二つの英単語をくっつけて、独自のサービス名を開発した」ということは少なくないですよね。「同じスペルだけど、別の言語だと違う読み方がある言葉を使った」ということもあります。これらの場合、適切に読まれない可能性が高いです。
「可能であれば、アルファベットの略語は使わない」「独自の言葉には読み仮名を付けるか、カタカナ表記をメインにする」という工夫が必要そうです。
SEO対策を実践するためのコツ
上記に加えて、基本的なSEO対策についても解説します。
ホームページの文章を読み上げツールに最適化するにあたって、どのように活用したらいいのかをピックアップしました。一つずつご紹介しますね。
- 既存ページのリライトに活用する
- 新規記事作成時のチェックリストへ導入
- 読み上げた音声を録音して配信
既存ページのリライトに活用する
すでに公開済みのブログ記事や、ホームページ内のサブページなどを改善する際に意識してみるのがおすすめです。
特に、「大幅なデザインの改修は難しいけれど、ちょっと手を入れたいな…」というときには取り組みやすいですね。
新規記事作成時のチェックリストへ導入
冒頭でも少し触れましたが、「SEO対策にあたってやれることはやってると思うけど、あとは何をしたらいいんだろう?」というときの、プラスアルファの施策として取り入れてみてください。
結果的に文章の質向上に繋がるので、チェック項目に入れてみる価値はあると思います。
読み上げた音声を録音して配信
近年、動画や音声コンテンツが非常に人気です。せっかく文章を「音声の読み上げ」に最適化したなら、そのままラジオや解説動画として配信してみるのもありですね。今までカバーできなかったターゲットに訴求できるかもしれません。
その際は、録音した音声を配信することが可能かどうか、読み上げツールの利用規約をしっかりと確認してください。
まとめ
ホームページ上の文章を読み上げツールに最適化するポイントについて解説しました。
主に気をつけたいのは以下のようなポイントです。
- 同音異義語に注意する
- 句読点を適切な位置に使う
- 見た目の調整にとらわれない
- 表記や略語に気をつける
実際に読み上げツールに適した文章を書く際には、以下のように活用するのがおすすめです。
- 既存ページのリライトに活用する
- 新規記事作成時のチェックリストへ導入
- 読み上げた音声を録音して配信
SEOの視点から見れば、現在はメインで注力するほどのポイントではありません。
ですが、「今の対策では頭打ちだと感じているので、さらにレベルアップしたい」「競合他社のホームページが強すぎて勝ちにくい」「ブログを書く際の指標が欲しい」というときに取り入れるのはおすすめです!
今後、AIの進化で読み上げツールの性能もどんどん上がっていくことが予想できます。ホームページ制作に携わるライターとして、今後もアンテナを張りながら学習を続けていきたいです!
当社WWGでは、ホームページ制作にかかわる相談を承っております。自社専属の取材ライターがいるので、文章に対する熱量とこだわりには自信があります!…あります!
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2020年にWWGへ入社。Webサイトの文章作成をはじめ、キャッチコピー、Web記事、座談会ページ、インタビュー、校正など、ライティング関係の業務を担う。最近 趣味の個人サイトをWordPressで作ったのでコーディングを勉強中。
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