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前回の記事では、AGI(エー・ジー・アイ)とASI(エー・エス・アイ)の言葉の意味や、違いについて解説しました。
そこで今回は、AI入門記事の後編ということで、AGIとASIで何ができるのか、そして、懸念されている課題やリスクについて解説していきます。
AIは今後どうなっていくのか予測が難しいジャンルでもあるので、私なりの主観なども交えながらお話していきたいと思います。
前編の記事をまだご覧になっていない場合は、AGIやASIの基礎知識を解説しているので、先にご覧いただくとより分かりやすいかと思います。ぜひ併せてチェックしてみてくださいね。
▼この記事の前編はこちらから
目次
1.AGI、ASIの未来と可能性
前回の記事では、AGIやASIの基礎としてそれぞれの定義や概念を解説しました。
今回は、もうちょっとだけ具体的なイメージを持ってもらうために、AGI、ASIで何ができるのか・活用イメージについて解説していこうと思います。
1.1. AGIでできること
AGIが活躍するとされている分野や業界の例として、以下が挙げられます。
・教育分野
・医療分野
・ビジネス領域
・自動車業界
とても影響力が強そうな並びですね・・・
従来のAIはすでにあらゆる場所で活用されています。 身近なもので例を挙げてみると、電子レンジや洗濯機、お掃除ロボットといった家電にAIが搭載されていたり、カスタマーサポートのお問い合わせがAIロボットによる対応だったり・・・と、「あ、これはAIだ」と思う瞬間はたくさんあります。
また従来のAIは、特定の問題・タスクに特化していることから、ビジネスの領域でも効率化やデータ分析等に活用されています。現状はあくまでも、人間がAIを舵取りし「AIに任せられるタスク」を厳選して、活用しているようなイメージです。
そして、今のAIがさらに進化し、AGIが誕生した場合、この「AIに任せられるタスク」の幅が格段に広がります。なんていったって、人間の感情を理解できるんですから!(笑)
具体的には先ほどにお伝えした分野・業界での活躍が期待されています。
■教育分野
生徒一人ひとりに合わせた教育プログラムを提供することが可能となります。つまずく理由や理解度を分析し、提供する学習教材を最適化してくれます。
その他にも、出席の管理、教材の準備や管理、生徒の成績の管理・・・といった業務についても自動化が可能となり、教師の業務内容が飛躍的に効率化されると言われています。また、高度な解析能力・分析能力を持つため、研究現場においても新しい発見やアイデアの創出を期待されています。
■医療分野
病気の診断の質が格段に上がることが期待されています。また、診断後の治療計画を策定したり、新薬の開発に貢献したり、といったことも可能になると言われています。
病を治療するうえで重要なのが早期発見ですが、AGIは患者から得られる症状や、ライフスタイル、遺伝情報、医療履歴といったデータを多角的かつ総合的に分析し、精度の高い診断を可能にするため、早期発見に貢献します。
■ビジネス領域
より人間らしいコミュニケーションが可能となるだけでなく、 顧客に提供するサービス内容をよりパーソナライズ※1することが可能となるため、顧客体験(CX)が向上することが期待されています。顧客体験とは、顧客が【サービスや商品を検討・購入して実際に利用するまでの過程で得た体験】で感じた価値やメリットのことです。 これが最適化されると、「自分にあったサービスを受けることができた」と満足度が高まります。
さらには、あらゆる情報から柔軟に思考し新しい考えを生み出すことができるため、市場分析・競合分析の精度が飛躍的に向上します。そのため、新しいビジネスモデルが確立する可能性もあります。
※1:パーソナライズとは、顧客の購買・行動履歴、属性、といった様々な情報に基づき、顧客それぞれのニーズに合わせた最適なサービスや商品を提供する手法のことです。
■自動車業界
複雑な交通状況を人間のように把握し、正確な判断を下すことが可能になるため、自動運転技術に大きく貢献すると言われています。これにより、交通事故の減少、ガソリン等のエネルギーの消費量の最適化、といった効果を期待できます。
AGIが実用化されることで、上記のような例をはじめとして様々なものが進化・変革を遂げ、私たちの生活の質が高まることが期待されています。
1.2. ASIでできること
では次にASIについても見ていきましょう。
ASIはAGIの進化系です。そのため、今ほど例に挙げたAGIの活躍を凌駕し、私たちの生活のありとあらゆる場面で影響を及ぼします。
とくに、注目されているのは、新しい科学技術の発見や、医療課題、少子高齢化・エネルギー・環境問題、といった社会問題の解決です。人間の知能を超えたASIは、私たちでは思いつかない新しい概念を生み出すことが期待されています。
「あぁ・・・このままでは、地球のエネルギー資源をすべて使い尽くしてしまう・・どうするべきか」
「止まらない少子高齢化・・・このままでは人類存続の危機・・・どうすればいいのか・・・」
そんな、途方もなく解決が困難な課題に対して、ASIが解決策を提示してくれる、そんな可能性を秘めているわけですね。
ASIは人間の知能レベルをはるかに超えています。そのため、これまで解明できなかった様々な謎(科学や数学・・その他色々)が解き明かされ、社会の在り方や経済構造、といった人間社会全体が根本から変革する可能性すらあると言われています。
「世界が変わる」とはよく聞く言葉ですが、これがASIによって実現されるかもしれない、ということですね。
2.倫理的課題やリスクについて
ここまでAGIとASIの輝かしい可能性をお話してきましたが、AIの活用を語るうえで避けては通れないのが「AIの倫理的課題やリスク」のお話です。
現在もすでに、AIを取り巻く問題・リスクはあらゆるメディアで報じられていますよね。著作権の問題、AIで生成されたディープフェイク動画を利用した広告出稿の問題、などは残念ながら日常茶飯事に起こっています。
現状のままでは、今後AIがAGI、ASIへと進化していくことで、様々な問題が起こる可能性があります。AIがもたらす恩恵だけでなく、リスクも把握し解消したうえで活用していくことが求められています。
具体的に懸念されているのは、以下のようなリスクです。
■制御不能となる問題
人間と同様、もしくはそれ以上の知能をもつため、人間が意図しなかった解決策を実行してしまうリスクがあります。人間の知能を凌駕してしまう場合、AIの制御が困難になると言われています。
■雇用の問題と社会・経済の混乱
AGI、ASIによって、多くの業務が高度に自動化され、それに伴い失業者も増加すると言われています。そのため、世界規模で経済的・社会的な混乱が生じてしまう可能性も懸念されています。また、飛躍的な技術の進歩によって、その技術を保有する一部の企業が市場を支配し、経済格差が広がるリスクもあります。
■倫理的な課題
AGIやASIによって導き出された解決策が、必ずしも人権・倫理を考慮したものにならない可能性があります。オックスフォード大学の哲学者、ニック・ボストロム氏が著した『スーパーインテリジェンス: 超絶AIと人類の命運』の中で述べた「ペーパークリップを作り続ける存在」というお話※2は有名です。 また、医療分野において、人間の命にかかわるような決定がAIによって下される場合、倫理的な判断基準や責任の所在が曖昧であることも問題視されています。
※2:ペーパークリップの生産を最適化するためのAIが、すべてのエネルギーを『ペーパークリップの生産』に注ぎ、やがて地球上のすべてのリソースを人間から奪い、ペーパークリップを生産し続けてしまう・・・といった主旨の内容で、AIに人間と同じような意志や心を持たせることへ警鐘を鳴らしたお話。
書名:『スーパーインテリジェンス: 超絶AIと人類の命運』(初版発行: 2017年11月)
著者名:ニック・ボストロム
■プライバシー侵害の問題
人間の知能を凌駕するASIによって、ありとあらゆるデータが収集できるようになってしまうため、個人のプライバシーに関する情報へのアクセスが危惧されています。ASIへ全世界の全てのデータへのアクセス権や利用権が集約されてしまうことで、個人のデータが不正に利用されてしまうリスクもあります。
このように、AIと人間が共存し、思い描くような輝かしい社会を築き上げるためには、まだまだ課題が山積み・・・という状況でもあります。それでも、AIによってもたらされる恩恵が大きいのは事実です。そのため、世界の研究者たちの手によって、これらの課題への対処法の考案や、AIの開発が日々続けられています。
人間の思考回路が「最適化」にだけ特化したものではなく、どれだけ柔軟性が高く、状況に応じた倫理的な判断に長けているのかを、あらためて痛感しますね・・・人間ってすごい!
3.まとめ
いかがでしたか?今回は、AI入門記事の後編ということで、AGIやASIの可能性や現状の課題について解説しました。
AGIによって、より柔軟で汎用的なデータ処理が可能となり、新しいビジネスモデルも確立され、世界はどんどん変化していくと予想されます。そのうえさらに、ASIが実用化されると、社会的・科学的・医学的課題・・・といった、人類には解決し得ない課題を解決へと導く可能性があり、社会の構造・在り方が抜本的に変化するかもしれないとも言われています。
AGIやASIの実用化に向けては、まだまだ向き合わなければいけないリスクや問題も多数ありますが、AIが日々驚くほどの速さで進化を遂げているのもまた事実。想像するよりもずっと早く、実用化される未来が訪れるかもしれません。
そうした、AIによる社会変革のタイミングで、時代に取り残されることなく生き残っていくためにも、企業の大小にかかわらず、AIの動向に関する最新の情報をチェックし、日々の業務において「私たちの場合は、どうやってAIを活用していけるだろう」とアンテナを張って共存していく姿勢がとても重要なのではないでしょうか。これからも、目がAIからは目が離せませんね。
▼この記事の前編はこちらから
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