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こんにちは!
名古屋のホームページ制作会社WWGで取材ライターをしています、わくわくさんです!
企業イメージを左右する、ホームページのMV(メインビュー)にあるキャッチコピー。見たことある方も多いですよね。長くても30文字程度、短ければ5文字くらいで完結してしまうこともあります。
文章は基本的に短く書くほうが難しく、キャッチコピーの作成はコピーライターという専門職があるほど難易度の高い仕事です。
そこで今回は、キャッチコピーを手がけることもある取材ライターの私が「いい!素敵!」と思った他社様のキャッチコピーをご紹介しながら、読み取れるコンセプトや想い、ポイントなどを(勝手に)解説していきます。
まだまだ勉強中、というか一生勉強中であるつもりの身なので、「こんな読み取り方もあるんだな~」という参考にしていただけたらと思います。
目次
1.たくさんつくろう。おいしいエール。
エームサービス様、調理師の新卒募集サイトです。工場や病院、学校などの施設に提供する食事をつくるお仕事ですね。
老若男女問わず親しまれるようなイラストと、シンプルながらも印象に残る赤と青、やや黄みがかった背景色の組み合わせが、優しい雰囲気でありながらも緩すぎないイメージを演出しています。
文章を書く際、ひらがなで表記することを「開く」、漢字にすることを「閉じる」といいます。開く文字が多ければ「柔らかい、優しい、幼い」といった印象に、閉じる文字が多ければ「硬い、しっかり、大人っぽい」といった印象になります。
このコピーは、「沢山」「作る」「美味しい」という表記をすべて開いています。イラストの印象を鑑みると、非常に柔らかく親しみのあるイメージを大切にしているとわかりますね。
また、「エール」というキーワードだけがカタカナ表記になっているのがいいアクセントになっています。社名の「エーム」とちょっぴりかかっている感じがおちゃめでかわいらしいかも。
キャッチコピーは短い文章の中ですべてを説明しなければいけないので、無駄は一切許されません。…許され…ません…!(戒め)「たくさん」「つくろう」「おいしい」「エール」のすべてに意味があります。
「たくさん」というところで、小ぢんまりとしたレストランではなく、大人数規模の施設へ向けた調理だとわかります。「つくろう」「おいしい」は事業のキモとなる部分なので、絶対に外せないキーワードです。
ポイントはこの「エール」の部分に集約されているな、と思いました。
「たくさんつくろう。おいしい」までは、「大規模施設に向けた調理師募集の採用ページ」であれば、どんな企業でも謳うことができる文言です。前半部分が普遍的だからこそ、オチ・シメとなる「エール」の言葉こそが、このキャッチコピーでもっとも主張したいポイントだとわかります。
これは「誰かの応援になるような、おいしい食事を作ってほしい」というメッセージです。
失敗して凹んでいても、大好物を食べたら元気が出る。疲れてへとへとになった体が、栄養満点な食事によってまた頑張れるまでに回復する。そういった「心も身体も、食事によって励まされた」という体験を大切にしてほしい、という想いがこもっています。
さらにポイントとなるのは、MVの下部にいる小さな人たちのイラストです。
「おいしー」「ありがとー」と言っているので、「あなたの作ったものを食べてくれた人たち」のイメージですね。この人たちはメガホンや旗を持って、真ん中にいる調理師さんたちに向かって大きく振り、応援をお返ししています。
自分の食事で喜んでくれた人の感謝の気持ちが、調理師にとっては何よりのエールになるんだよ!
…という仕事のやりがいを、ビジュアルと合わせることで効果的に表現した素敵なキャッチコピーだな~と思いました!
MVをスクロールした先のメッセージもちょっぴりユーモアがきいていて可愛らしいです。(「観戦できぬ」の渋さが好きです)よかったら読んでみてください!
2.ひとりひとりの 育つ力に 耳をすまそう。
八ヶ岳風の子保育園様。長野県にある認可保育園のホームページです。これから自分の子どもを預けようか検討している保護者の方がメインターゲットかなと思います。
左側にパステルカラーっぽいメニューが縦に並んでいる、ちょっと珍しい作りですね。…あれ?そうでもないかな…?スマホで表示したときにメニューが大きくて押しやすい点がすごくいいな~!と思いました。
このコピーをすべて閉じるとしたら「一人一人の育つ力に耳を澄まそう」となります。「澄まそう」は画数も多く、閉じるとどうしても字面が硬くなりすぎてしまいますね。
「一人一人」は通常の文章では「一人ひとり」と書くのが一般的ですが、ここではすべて開いています。
漢字には非常にパワーがあります。ただの音だった文字の羅列が、漢字にするだけで一気に意味を持ち始めるんです。なので、ライティングでは基本的に「意味をしっかり主張したい言葉(動詞や名詞など)」以外は開くのがセオリーです。
<参考記事>【簡単】誰でも文章が上手くなる!ライターが気をつけているコツ3選
「個人をしっかり見ていくよ」と主張したいなら「一人」にしてもよさそうですが、一番主張したいポイントと、全体のイメージ感のバランスを考えてこうなったのではないでしょうか。
「ひとりひとり」を開いたことによって「ひとり」という文字の丸みで柔らかい印象を強めつつ、閉じてある「育つ力」「耳」というキーワードにインパクトが出るようになりました。つまり、重要なのはこの二つになってきそうですね。
ここでいう「育つ力」はお子さんの「成長」のことです。ストレートに「ひとりひとりの成長に耳をすまそう」でもよさそうですが、あえて「育つ力」と言い換えているように感じます。
「育つ」のは、もちろん子どもたちです。つまり「育つ力」を持っているのは、子どもたち自身ということ。
興味を持って取り組んだり、好きなことに夢中になったり。逆に、嫌いなことを回避するために必死になったり。こうした経験によって、子どもたちは「自分の力でどんどん育っていくんだよ」ということを言っていますね。
「成長」だと「ただ育っていく過程」という印象に留まりますが、「育つ力」とすることで「子どもたちが自分で考えて行動したこと」にも目を向けています。
似たニュアンスの言葉でも、選び方ひとつで込められる想いがまったく違ってくる…というのが、キャッチコピーのおもしろいところですね。…めちゃくちゃ難しいところでもあるのですが…!
「耳を澄ます」という動きは、「小さくて聞こえにくい音を、注意して聞く」というシチュエーションで起こります。
このコピーで耳を澄ます対象になっているのは、「育つ力」です。当たり前ですが、「力」は一般的に「音がするもの」ではありません。つまりこれは、「小さくてささいなものも、しっかり見つめて逃さない」ということを主張した比喩表現です。
「見逃さない」「注目する」といった言葉でも同じ主張ができそうですが、「耳をすます」というちぐはぐな表現を使うことで印象に残るフックを作りつつ、「音=その瞬間にしか感じられないもの」を使うことで、「育つ力」が一瞬しか目にできない儚いものである、と表現しています。
子どもの成長具合は十人十色。知らない言葉を覚えた、足が速くなった、友達におもちゃを譲れるようになった…親御さんなら、どんなに小さな欠片も余さず目にしたいと思うのではないでしょうか。
それを、八ヶ岳風の子保育園さんは「どんなに小さな成長も、しっかり見ています」と主張しています。
仕事の都合でなかなか触れ合える時間が作れない。自分は、我が子の貴重な瞬間を見逃してしまっているのでは…?
という保護者の方に寄り添った、優しいコピーですね。また、「すまそう」と提案型の語尾にしているあたりにも「保育園と保護者の方と、一緒に見守っていこうよ」という想いが表れています。
3.造ったのは実は、山崎。
山崎建設工業株式会社様(正しくは「大」の部分が「立」の立崎です)の採用特設サイトです。
特徴的な形に切り取られた場面写真と、そこに重なる手書きのメッセージ。いくつか切り替わりながら、右下には「造ったのは 実は、山崎。」のコピーが毎回出現します。
説明するのは野暮だと思いますが、私はこのコピーと演出がとても好きでして…。
「はじめて恋をしたあの場所」という手書きのメッセージとともにあらわれる、学校の屋上と男女の学生。そして「造ったのは 実は、山崎。」のコピー。「さまざまな人の思い出の場所を、私たちが作っている」ということですね。
「はじめて~」は手書きのメッセージなので温かみがあり、写真に写っている人たちがアルバムに思い出を手書きしている…といったシチュエーションを思い起こさせます。
また、その写真も人物の顔が写ることはありません。微笑ましい場面を陰から見守り、「造った自分たちは、あくまで脇役である」と言っているかのようです。うーん、クールだぜ…。
都度右下に「造ったのは 実は、山崎。」が出るのもいい演出ですね。
「写真→手書きの文字→右下のコピー」の順に出てくることによって、動きだけで「これを造ったのは、山崎」「これを造ったのも、山崎」と、一つひとつ丁寧に説明しているような印象を強めています。
JP東海さんの有名なキャッチコピー。たまに「そうだ、京都へ行こう」と書かれていることも目にしますが、正しくは「そうだ 京都、行こう。」です。有名なコピーすぎて私のようなぺーぺーが解説…というか、もはや触れるのすら怖いのですが…(笑)
ビジュアル的な話をすると、このコピーは縦書きで、「そうだ」のところで改行され、同じように「京都、」「行こう。」で三行に分けられています。
「そうだ」のあとに句読点がないのは、縦書きのビジュアルを想定して作られたものだからなのでは…と思います。
キャッチコピーは、文章だけで展開されることはほとんどありません。
媒体によって多少の変化はあるものの、基本的には「この写真に対して、この位置にこのように文字が入る」とある程度の完成形が考えて作られることが多いです。少なくとも、自社の場合はそういったケースがほとんどです。
このコピーも「造ったのは」が小さく横書きに、やや大きめに「実は、」が縦書きに、そして一番大きく書かれた「山崎。」が再び横書きにレイアウトされています。つまり、この文字の配置と合わせて考えられたのでは…?
となると、「どういう見せ方をするか」がこのコピーを読み解くうえで重要そうです。
「何をどのくらいの大きさで配置するか」も主張したいものの度合いで変わってきます。
このコピーは、「山崎。」を大きく配置することで、オチとして「衝撃の事実を伝えている」という演出がされています。直前にある「実は、」がそのイメージを補助してくれていますね。
加えて、「実は、」「山崎。」の句読点も、非常に重要なポイント。
「実は、」の読点で「今からすごいことを打ち明けるよ」というときの溜めの呼吸を、「山崎。」の句点でスパッと言い切る様子を表現しています。今にも、セリフが音声になって聞こえてきそうな気がしますね。
「山崎です。」ではなく、「山崎。」という体言止めも潔く、「うちはすごいものを造ってるんだ」という自信やプライドも感じます。カッコイイ!
キャッチコピー作りは文字だけではなく、ビジュアルとどう組み合わせるかが非常に大切である、とよくわかりますね。
4.まとめ
取材ライターである私が個人的に好きな企業ホームページのキャッチコピーを、3つご紹介&解説しました。
タイトル通り「勝手に」解説しているだけなので、私の考えがどれだけ当たっているのかはわかりません。まったくの的外れかもしれません。
しかし、キャッチコピーに説明や言い訳はありません。(補足的にサブキャッチやボディコピーが書かれていることもありますが)読み手が一瞬でどう感じたかがすべてです。
だからこそとても難しい!
今回解説した内容も一見すると当たり前のことばかりに思えますが、私はこれを明確に言語化できるまでにいろんな勉強をしました。さらに、言語化したことを自分のキャッチコピー作りに活かす…というところまで考えると、何年やっても勉強し足りないと思います。
とはいえ、キャッチコピーそのものは大好きです!
いつかお客様に「すごくいいね!」と言っていただけるようなコピーを作れるように、学び続けていきたいな~と思います!
名古屋から愛知全域にて企業専門のホームページ制作をしています
株式会社 WWG(ダブルダブルジー)
愛知県 名古屋市中村区名駅5-16-17 花車ビル南館5F(企画)&9F(制作)
お電話でもホームページの制作相談OK: 052-890-7007
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わくわくさん
取材ライター
企画・開発部 ライター。2020年にWWGへ入社。Webサイトの文章作成をはじめ、キャッチコピー、Web記事、座談会ページ、インタビュー、校正など、ライティング関係の業務を担う。ゲーミングチェアを自分で組み立てたのが最近の自慢。