クリエイターラボ
ホームページ制作の「生産性向上」に本気で取り組む 〜WWGの制作効率化プロジェクト
良かったら”♥”を押してね!

自社WWGでは2025年の初め、サービスの品質向上のために「WEB制作推進チーム」を発足しました。
今回の記事では「WEB制作推進チーム」にてどのような業務改善を行ったのか、経過と試行錯誤の流れを解説します。
目次
第1フェーズ:「作業効率・スピードアップ」への挑戦
当初、私たちはサービスの品質向上のために、まずは業務上のムダを削減すること、つまりは「制作期間の短縮」を目指しました。
作業のスピードアップは制作チームが一番手を付けやすい基本的な改善点です。外部サービスの利用による遅延など、自社由来ではないトラブルについてはいったん除外して考え始めました。
・個々の作業時間の洗い出しとフィードバック
・各職種(デザイナー/コーダー/ライター)の制作方法の見直し
・各チームで制作ルールの策定
第1フェーズ結果
これらの改善は約4カ月間行われ、一定の成果を上げましたが「制作期間の短縮」というゴールには残念ながら届きませんでした。個人の作業スピードがあがっても、全体の制作期間は短縮されなかったのです。
何故か。私たちの制作は各専門職がうまく連携して初めて完成されるものなので、個人だけではなく、連携を含めた全制作のフローに着目すべきではないか?つまり、問題を捕らえる視点を広くすべきではないか、という結論に至りました。振り返ると、私たちの視点は“作業スピード”のみに偏っていたかもしれません。
第2フェーズ:「作業スピード」から「生産性」へ視点を広げる
視点が狭すぎたことでプロジェクトの効果が出なかったことを大いに反省し、私たちは総合的に視野を広げることにしました。まず、会議の名称を「WEB制作推進会議」から「WEB品質改善・制作推進会議」へ変更し、新たなキーワードとして「生産性」を据えることにしました。
『生産性 マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの(伊賀泰代 著/ダイアモンド社)』の考え方をもとに、WWGに当てはめてみました。
WWGにおける“生産性”の定義

制作時間だけに着目していたところから、「成果」も考慮に入れます。単なるスピードアップではなく、「短時間で高い成果を上げる」ことを追求する――これが新たなテーマになります。
「成果」に求められることは何か。
では、私たちにとっての「成果」とは何でしょう。
まず最初に掲げるのは「ホームページ公開数」です。これが増えることで、生産性はアップします。
それにプラスして私たちが掲げた成果は、“次の営業につながるホームページの制作”です。
「WWGでホームページを作ると、ここまで良いものができますよ」と次のお客様獲得につながる実績を作り出すこと。それによって新規顧客を獲得することに繋げる狙いがあります。良いホームページを作る→誇れる実績になる→新しい顧客獲得につながる→案件数(成果)が増える→生産性アップ、となる。そういう理由で「クオリティアップ」も成果に盛り込むことにしたのです。
2025年の初めに私たちが最初に掲げた目標、「制作期間の短縮」をすることと、今掲げている「クオリティアップ・成果の質を高める」という目標は、よりハードルが高くなってゴール達成が難しくなったように感じられるかもしれません。実際、「クオリティにこだわると、スケジュールは守れないのでは?」という声もありました。
しかし、私たちが“両立すべきこと”とはっきり明示した理由は、「成果の質を上げるための改善」が、結果として「制作全体の効率化の見直し」につながることに気づいたからです。
たとえば、WWGでは現在、上流工程(企画・ディレクション)で確定すべき内容をルール化し、次工程(デザイン・ライティング・コーディング)に統一された情報と指示が渡るような体制整備を進めています。
これにより手戻りや確認不足といった無駄を削減するのですが、それだけでなく、確定する情報の深度をより深めさせる狙いもあります。クオリティとスピードの両立をはかる。これらは別々に考えるべきものではなく、一緒に向上するべき点だとしました。

生産性向上のための2つの軸
私たちの改善施策は、次の2軸で整理されるかと思います。

① 分母:制作時間の短縮
A. 問題点の洗い出しとルール化
◆ 言葉の共通認識をはかる
「ターゲット」「目的」などの言葉が職種ごとに解釈が異なっていたことに着目。共通認識を図ることで、無駄な認識齟齬を削減。
◆ 制作プロセスのマニュアル化
たとえば「ワイヤー提出」という工程でも、ディレクターごとに仕様が異なると、デザイナー側に余計な対応が発生。こうした属人性をなくし、統一化を進める。
B. 技術的な効率化
◆ Figmaの導入
ホームページ制作に特化したデザインツールで、制作スピードをアップ。コーダーとのデータ共有や連携がスムーズに。
◆ aun、Boxの活用
お客様からのフィードバックや資料提供を手間なく共有できる体制を整備。
◆ AIの活用
作業補助やライティングサポートなど、さまざまな工程にAIツールを活用し、省力化をはかる。
② 分子:成果数の増加
◆ ホームページ公開数を増やす施策
単に「ホームページを何本納品したか」ではなく、「そのホームページが次の営業につながるかどうか」にも着目。実績が新しい案件を呼び込むようにし、成果数をあげていく。
リニューアル前後の違いが明らかで、目的達成度合いが明白
・ページ構成が整理され、コンテンツ内容が充実している
・内部構造が最適化され、検索順位がアップした
こうした価値ある成果を標準で出せるように、自社ホームページの全面リニューアルチームも発足されました。自社サイトで実現することで全制作過程のロールモデルを作る考えです。
ホームページ制作以外でも「生産性」を意識する
今まで、ホームページ制作に視点を置いてお話してきましたが、この「生産性」という視点は、制作だけでなく、会議や働き方全体にも活かしたいと考えています。
例えば会議。時間短縮を目的にするべきでなく、その会議で何が実現するのか、出る成果は何かに着目した上で、かけるべき時間を捻出すること。成果を念頭に置いた「生産性」で考え、会議の質を上げる事をおろそかにしないようにします。
残業短縮もそうです。時間短縮が目的でなく、質の良い制作物を短時間で作り上る「生産性」を上げることが目的です。
- 何時間もかかって出来なかったことが1時間で出来た。
- 同じ1時間で成果の高い制作物ができるようになった。
- できた余裕の時間でさらに生産性をあげるための施策ができた。
これが理想の状態です。
WWGすべてのスタッフが「生産性」の考え方を理解し、行動していくことが重要になってくると考えています。
まとめ
「生産性向上」というと製造現場でのお話のように考えがちですが、WWGと同じくホームページ制作会社のようなサービス業にも重要な考え方です。今後も、「生産性アップ」を目標にプロジェクトや会議が進行します。その途中経過もまたご報告しますね。

2022年3月デザイナーとして入社。3年目にしてリーダーの役職がつき、チーム運営に乗り出しています。現在はディレクターになるべく、お勉強の日々。WWGで背の順一番前。
この人が書いた記事をもっと見る