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AI生成物は著作権侵害になる?「AIと著作権に関する考え方について」解説

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このブログでは、AIをテーマとした記事を定期的に公開しており、その動向に注目しています。個人的にも、ライティング段階で「この言い回し、少し違和感があるなぁ」と迷った時にAIに添削してもらうことがあります。とっても便利です!

しかし、便利な一方で、「自由に使えるAIで作った生成物って著作権の侵害にならない?」と不安になることもありますよね。

本日は、「AI生成物は著作権違反になる?」という疑問にお答えしていきます。

目次


  1. AI生成物は著作権侵害になる?
  2. 著作権に対する法の考え方
    2.1著作権法
    2.2著作権侵害の成立要件
  3. 「AIと著作権に関する考え方について」
    3.1「AIと著作権に関する考え方について」概要
    3.2享受と非享受が併存しているときは
    3.3「作風」は著作権侵害になるのか?
  4. 著作権侵害をしないためには
  5. まとめ

1. AI生成物は著作権侵害になる?


結論から言いますと、AI生成した文章や画像、イラスト、音楽などは著作権侵害になることがあります。

AIと著作権の関係を考えるためには、「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分ける必要があります。

「AI開発・学習段階」では、「他人のデータや著作物を無断で使用してAIを開発した場合」著作権侵害になるのかということが主な問題となります。一方の「生成・利用段階」では、「生成AIの利用」や「生成物が他の著作物に酷似していた場合」が主な問題になります。

それぞれの問題に対して、著作権侵害になる可能性があるというのが現状です。

2. 著作権に対する法の考え方


「AIと著作権」の問題を考えるにあたって前提となる、著作権法についてまずは説明していきます。

2.1著作権法

著作権法で保護される「著作物」の定義は、以下の通りです。

「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」

法第2条第1項第1号

つまり、単なる事実やデータや、ありふれた表現、表現に至らないアイディア、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属さないものは、著作物に該当しないため、保護の対象となりません。

ちなみにAIで生成したものに関しては、著作物とは言えないという解釈がなされます。なぜならば、AIは「思想や感情」を持っていないからです。しかし、人間が表現の「道具」としてAIを使用したと認められる場合は、著作物に該当すると考えられます。

著作物は他者が無断で使用することはできません。他人の著作物を使用するには、著作権をもつ人に使用許可を得る必要があります。ただし、例外もあり、私的使用のための複製や、教育機関における複製、営利を目的としない上演などはこの限りではないとされています。

2.2著作権侵害の成立要件

著作権侵害が成立するのは、次の4つの要件を満たした場合です。

・著作物である

・依拠性が認められる

・類似性が認められる

・例外的利用が認められるケースに該当しない

著作物は、先ほど説明したように、「思想または感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」ですね。

次に、著作権における「依拠」というのは、「既存の著作物に接して、それを自己の作品の中に用いること」とされています。例えば、既存のイラストを参考にして自分のイラストを作成した場合、「依拠性」が認められます。しかし、既存のイラストを知らずに偶然同じような創作物になってしまった場合、依拠性は認められません。

「類似性」は、既存の著作物と同一、または類似していることです。類似性の有無は、表現が創造的であるかどうかや、既存の著作物の「本質的な特徴」、つまり重要な要素や特徴を模倣しているかどうかが考慮されます。

例外的利用は、先ほど説明した私的使用のための複製や、教育機関における複製、営利を目的としない上演などのことです。

3. 「AIと著作権に関する考え方について」


さて、AI生成物は著作権侵害になる?の項で、AIが抱える著作権侵害の問題をいくつか挙げました。これらについて、そして、それ以外に懸念されている問題について、文化庁が「AIと著作権に関する考え方について」という報告書を発表しました。

3.1「AIと著作権に関する考え方について」概要

3月19日に文化庁が「AIと著作権に関する考え方について」という文書を発表しました。

「AIと著作権に関する考え方について」⇒https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoseido/r05_07/pdf/94024201_01.pdf

著作権法改正の検討がなされた平成30年の時点で、生成AIは既に存在していたものの、利用者は事業者であり、個人利用はあまり想定されていませんでした。

しかし、それ以降、生成AIの個人利用が進んでいく中で、「生成 AI の開発や利用により不利益を被っている」、「どのような場合に著作権侵害となるのか不明確でリスクが大きい」といった懸念の声が上がるようになってきました。

生成 AI と著作権の関係を直接的に取り扱った判例や裁判例はまだ少なく、「判例及び裁判例の蓄積をただ待つのみでなく、解釈に当たっての一定の考え方を示すことも有益である」という考えから、パブリックコメントが募集され、この報告書が発表されました。以下、こちらの報告書について、「考え方」と表記します。

今回は、「考え方」の中でも、気になる人が多いかな?という部分についてピックアップしてみます。

3.2享受と非享受が併存しているときは

著作権法では、法第30条の4により、著作物は「著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」は、著作者の同意なく利用することができるとされています。

ものすごく簡単に言ってしまえば、他人の著作物を第三者に使わせてはいけないということです。

そして、「情報解析の用に供する場合」は、「他人に享受させることを目的としない場合」に該当します。

生成AIの開発段階では、これを根拠にして、他人の著作物を学習データとして利用できると解釈されているのが現状です。

「考え方」では、「『享受』を目的とする行為に該当するか否かは、同条の立法趣旨及び「享受」の一般的な語義を踏まえ、著作物等の視聴等を通じて、視聴者等の知的・精神的欲求を満たすという効用を得ることに向けられた行為であるか否かという観点から判断されることとなるものと考えられる。」と示しています。

さて、以上を踏まえて近年では、「非享受目的と享受目的が併存していた場合どうなのか?」という点が議論になっています。

例えば、あるクリエーターの作品を学習データとして使用し、意図的に元の作品を出力させるような場合、「作品の情報解析=非享受」と「作品の表現=享受」が成り立ち、「非享受」と「享受」が併存していることになります。

これについて「考え方」では、「享受」が存在する時点で、「非享受」が適用されないという見解を示しました。つまり、「非享受」が適用されないので、著作権侵害になり得るということです。

この問題は、次に説明する「作風」の模倣にもつながってきます。

3.3「作風」は著作権侵害になるのか?

AI生成物をめぐって、しばし議論となるのが「作風」を学習させ、新たな作品を生成することは著作権侵害にあたるのか?ということです。

特定のクリエーターの作品を学習データとして使用することで、そのクリエーターの影響を強く受けた生成物を作ることができます。つまり、クリエーターの「作風」を容易に模倣することができます。「作風」は、作品そのものを模倣するわけではないため、著作権侵害になるのかどうか意見が分かれる部分となっていました。

「考え方」では、以下のように考えが示されました。

まず、著作権法では「作風」は単なる「アイディアにとどまるもの」と考えられます。よって、「作風」が共通するだけで著作権侵害にはなりません。

しかし、クリエーターの「作風」が、単なるアイディアのレベルではなく、「創作的表現が共通する作品群」となる場合があります。この場合の生成物の生成および利用は著作権侵害に当たり得ると考えられます。

これは個人的な解釈ですが、誰がどう見ても「これはあのクリエーターの作品だ!」と分かるような場合に、「作風」は「創作的表現が共通する作品群」として認められるのかなと思います。

4. 著作権侵害をしないためには


さて、生成AIの利用について、さまざまな面で著作権侵害にあたる可能性があると分かってきましたね……。では、意図せず著作権侵害をしないためにはどのように気を付けたら良いのでしょうか?

その答えの一つが、学習データを明示しているツールを使用することです。

例えば、Adobeの生成AI「Firefly(ファイアフライ)」では、学習データに「使用許諾を受けたコンテンツと著作権の切れた一般コンテンツ」を使用していると明示しており、同じく「ユーザーが生成したコンテンツを学習データとして使用することもない」と明示しています。著作権侵害にならないデータを学習に使っているということが分かりますね。

一方で、生成AIの中には、学習データが明示されていないツールもあり、何を学習データとして使用しているかが不明なため、著作権侵害になるような生成物を生成してしまう可能性があります。

ですので、個人利用の範疇を超える際は、学習データが明示されているツールを利用することをおすすめします。特に、商用利用をする場合、著作権侵害はさらに大きな問題に繋がりかねませんのでよく注意しましょう。

5.まとめ


■AI生成物が著作権侵害にあたる場合もある

■「作風」を学習させて生成物を作ることも著作権侵害にあたる可能性がある

■生成AIを使用する場合は、学習データが明示されているものを使用する

今は、生成AIの著作権侵害についての判例が少なく、正直言ってグレーな場合も多くあります。ですが、今回文化庁が正式に「考え方」を発表したことで、法規制も進む可能性が高くなりましたし、ユーザーの意識も変化してきている段階かなという印象を受けました。

数年前には、考えられなかったことがAIによってどんどん実現していく世の中ですから、法律もユーザーの意識も変えていく必要がありそうですね。


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