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夢の完全自動化も近い?自動運転と運転支援の違い

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テレビCMなどでもすっかりお馴染みになった、乗用車の自動運転システム。何かと話題のAIと親和性が高いこともあって、研究・開発が期待されている分野です。今回は自動運転システムについて簡単に解説していきます。

目次


  1. 自動運転と運転支援
  2. 自動運転にもレベルがある
  3. レベル3が解禁されたことによる影響
  4. 今できること
  5. メリット
    交通事故の防止
    渋滞の解消
    免許制度の改正

  6. デメリット
    システムトラブル対策
    運転技術の衰退
    公共交通機関に対する影響

  7. まとめ

自動運転と運転支援


自動運転、と聞くと「車に乗っているだけで目的地まで連れて行ってくれる」といった、無人のタクシーに近いイメージです。

ですが、現在販売されている一般乗用車のほとんどは「障害物を検知してブレーキを踏む」というようなサポートに特化した、運転支援をするものがほとんどです。これは、道路交通法などで、それ以上の機能を持った自動車が公道を走ってはならない、と決められていたからでした。

しかし、2020年4月1日に法改正がなされ、自動運転レベル3までの車が公道を走ってもいいですよ、という形になりました。

自動運転にもレベルがある


自動運転車のレベルは、「どの操作までシステムに任せるか」というポイントで0~5まで段階分けされています。

レベル0:自動操作なし。すべての操縦をドライバーが行う。
レベル1:運転支援。一部の操縦を支援してくれる。
レベル2:部分自動運転。一部の操縦をシステムが行う。
レベル3:条件付き自動運転。一定の状況下でのみシステムが操縦を行う。
レベル4:高度自動運転。特定の状況が続く限りシステムが操縦を続ける。
レベル5:完全自動運転。すべての操縦が自動化される。

ふだん多くの人が乗用しているのがレベル0の車です。前方に障害物がある場合に警告してくれる機能が付いたものもありますが、操縦に直接関わるシステムではないので、自動運転には含まれません。

レベル1と2は、「支援」か「操縦」かが大きく違ってくるポイントです。状況に合わせたブレーキのサポートをするならレベル1、ブレーキをかけてくれるのがレベル2です。

そして、法改正により公道の走行が許可されたレベル3。一般的に、運転全般と言うくくりの中で、2と3の間が「運転支援と自動運転の境界線」とされています。レベル4も含め、状況に応じて自動と手動が切り替わるイメージです。レベル3は手動がメインで一部が自動運転、レベル4はその比率が逆転する、といった感じですね。

レベル5は「自動運転」という言葉の響きに一番近い形です。様々なメーカーが、レベル5の自動運転車開発を目指しています。

レベル3が解禁されたことによる影響


レベル3の自動運転車は、「一定の状況下でのみ自動運転を行ってくれるもの」です。

「一定の状況下」には、主に速度や車線変更の有無などが関わっています。現状では、
①高速道路のように右左折がなく
②一定の速度以下で走行を続けられ、
③システムが要求した場合、いつでもドライバーによる手動操縦に切り替えられる、
というのが一定のラインのようです。

この③が一番重要で、「いつでも手動操縦に切り替えられる」ということは、「運転をシステムに任せてスマホをチェック」ということは不可能です。

また、以前は「レベル3の自動運転による事故はメーカー側が責任を負うように」と言われていましたが、法改正により「ドライバーが事故の責任を負う」という形に決定されました。どこに責任の所在があるにせよ、レベル3の段階では、完全にシステム任せにはできないということですね。

問題視されているのは、「システムからの手動運転要求があったとき、すみやかにドライバーが対応できるのか?」という点です。ながらスマホのような状況は問題外として、突然「運転を代わってください!」と言われたら、すぐに動けるのかどうか不安です。この点は、レベル3自動運転車の大きな課題なのかもしれません。

今できること


現行の生産車では、周囲の状況を検知して、それを基準として自車の調整を行う形が基本です。

・車線からはみ出したときに軌道を修正する
・前方車との車間を測って速度を調整する
・前方車の動きに合わせてブレーキと発進をする
・障害物を検知して自動停車する
・指示に従って操作するだけで駐車ができるサポート

緊急時や、予定外の事態をサポートする機能が多いようですね。交通事故防止に重点を置いたものという印象です。

メリット


前述した交通事故の防止も含めて、自動運転システムの発展には数多くのメリットが存在します。

交通事故の防止

レベル2までの機能を見ると、効果はこの点を重要視したものと言えます。パニックになって操作を誤った、現状の把握がしにくく判断が遅れた、というような人為的なミスを防いでくれるものが多いです。

高齢化が続く日本では、常々高齢者の操作ミスによる事故が嘆かれています。地方在住の方にとっては簡単に手放せない自動車も、運転支援システム搭載のものなら安心ですね。

渋滞の解消

現在も道路の混雑状況を測定できるナビなどは存在していますが、ルートの決定から運転まですべてシステムが担ってくれたら、渋滞がなくなる可能性もあります。

目的地までの到着時間を計算し、空いている道を選び、適切な速度で走行し…ということを周囲の車と連携して実行できたら、非常にスムーズなドライブが楽しめそうです。そもそも、無人運転になれば渋滞そのものが起こっても気にならなくなるかもしれませんね。

免許制度の改正

無人運転が可能になれば、文字通り誰でも車を持つことが可能になります。一家に一台タクシーがあるような感覚でしょうか。

免許をとるために、視力などの制限がなくなり、年齢を問われることもなくなり、果ては免許そのものが不要になる日もくるかもしれません。

デメリット


今後自動運転車が普及していくにあたって、課題とされるポイントもいくつかあります。

システムトラブル対策

システムが運転を管理するということは、外部から悪意を持ってシステムを改変された場合、車が予想外の挙動をすることもありえます。大規模な通信エラーが起きたり、システムに不具合が発生したりといった場合も同様です。

その際、急に手動運転に切り替えたとして、ドライバーが対応できるのかどうか?という点も懸念されます。

運転技術の衰退

運転そのものが好きだという方はたくさんいらっしゃると思いますが、今後自動運転の車が増えると、かえって手動運転がしにくくなるかもしれません。高い運転技術そのものが今以上に特殊なスキルとして扱われそうです。

万が一、災害などで自動運転システムが働かず、手動運転に切り替わった場合、自車を操縦できない!という人が出てくる可能性もあります。

公共交通機関に対する影響

本当に「一家に一台、自動運転車」という時代が来たら、電車やバスといった公共交通機関が不便に感じるかもしれません。「特別な資格がなくても長距離移動ができる」という点で非常に便利なものですが、自家用車がその役目を担えば、出発地・到着地が限定されるぶん、電車などのほうが不利になりそうです。

通勤・通学ラッシュから解放され、完全自動化によって渋滞も回避できる…となったら、日本の交通事情が大きく変わるかもしれませんね。

まとめ


段階ごとに少しずつ進化を遂げる自動運転車。現在は、幅広い年代の人々が安心して運転するためのお手伝いをするものにとどまっています。「自動走行と手動操縦への切り替え」という点も含めて、まだ課題を多く抱えています。今後、大規模な法改正を行っていく必要もありそうです。

完全自動化されるレベル5までの道はまだ遠いかもしれませんが、実現すれば、様々な事情の人たちが自由に旅行できるようになるかもしれません。レベル3の自動運転車が公道走行可能になったことで、また一歩その道へ近づいたように思います。

試乗の機会があれば、体験してみても楽しそうですね。完全自動化の未来がちょっとだけ覗ける…かもしれません 。

ライター:野倉

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